TopPage
4.5 群れとフラッシュバック


   私毎になるのですが、自分は、若い頃、素晴らしい上司に出会いました。

   素晴らしいというのは、世間一般で考えられているような人格者としての素晴らしさではありません。現実を見抜く力と、計画力、行動力が素晴らしかったのです。人格に関しては、表の人間ではなかったので、そこそこでした。
   彼に憧れて、一生懸命、真似ようとしたのですが、当時の自分には、とうてい不可能でした。刺激が強すぎたので、時々、バランスを崩してしまいました。

   ところが、その上司と同じ年代になってみると、その時、瞼に焼き付けていた上司の行動が、フラッシュバックのように、蘇ってきて、彼と同じ行動が苦もなく取れるようになっていたのです。

   フラッシュバックのように、蘇ってくるので、ほとんど、反射的に、即、体が動いてしまうのです。まるで、訓練を積み重ねたかのようにです。余分なものまで、フラッシュバックするので、時々、困る時もありますが。
   これには、驚きました。

   現代の日本では、学校でも、会社でも、管理のし易さや、効率面から、同じ世代だけを集めたグループを作る傾向にあります。このようなグループに入れられた若者は、人格形成のチャンスを失ってしまいます。

   そのような人間の行動を注意深く観察していたら、トンデモナイものを発見してしまいました。彼らの大人になってからの行動を、何処で学んだのか。それが疑問だったのですが、なんと、テレビドラマから、学んでいたのです。彼らは、テレビドラマの主人公を、リプレイしていました。
   だから、外側は、それなりに格好がついているのですが、中身がありませんでした。ドラマは、ドラマであって、現実ではありません。


   やはり、人間は、群れを作る動物です。色々な世代の入り混じった群れの存在は重要です。
   群れの中で、先輩たちの行動を瞼に焼き付けていく学習機会が、人格形成には不可欠だと感じました。

   やはり、学習は、行なうべき時期に行なう必要があります。直ぐには役立たなくても。でないと、その効果が試される年齢に達したときに、何も出来なくなってしまいます。
   その為にも、様々な年代が入り混じった群れの存在が重要です。

   ベルを鳴らせば、よだれを垂らす、パブロフの犬だけが、学習ではありません。


  前へ  Top  次へ