TopPage

2.8 間違いを検出する3つの方法


   自分の置かれている状況では、議論を互いに戦わせて、自らの思考の誤りを検出できません。そこで、3つの代替え手法を導入しています。

      1.プログラムの多重化
      2.概念処理(イメージ処理)
      3.役割法(タレント法)


2.8.1 役割法(タレント法)


   最も簡単で安易な方法です。様々な立場の人に成りきって、互いに議論を戦わせる方法です。要は、議論する状況を、人工的に、作り出すことです。
   安易で子供騙しに見えますが、意外と効果的です。

   まず、今の自分を捨てます。科学的常識も、宗教的常識も、哲学的常識も、現代の常識を全てを捨てます。

   そして、別の人に成りきって、今直面している問題を評価します。色々な立場の人の成りきって、様々は評価を下し、それを、互いに戦わせます。
   成りきる為のポイントは、2つです。2次元空間を形成します。

      a) 様々な職業の人に成りきってみます。
      b) 様々な時代の人に成りきってみます。


   a) 様々な職業の人に成りきってみます。

   もし、自分が健全な常識を持った素人だったら、どうみえるだろうか?
   もし、自分が物理学者なら、生物学者なら、どう見えるだろうか?
   哲学者だったら、数学者だったら、企業家だったら、文学者だったら。。。。
   ありとありゆる職業人を想定して、試してみます。

   まず、その立場で、見えている事実を確定します。立場によって、収集可能なデータは異なっていますから、見えている事実も異なります。

   次に、見えている事実から、それをどう判断するかを、どうのように理解するかを、想像してみます。

   そして、互いに、意見を戦わせます。


   b) 様々な時代の人に成りきってみます。

   過去の人や、未来の人に成りきって、どうみえるかを想像してみます。
   当然、この時、職業軸も考慮に入れます。

   もし、自分が、1万年前の素人だったら、どう見えるだろうか?
   もし、自分が、未来の物理学者なら、どう評価するだろうか?

   職業軸と、時間軸から構成された2次元平面内で、様々な立場の人に成りきって、評価してみます。


   この方法は、非常に安易で、子供騙しに見えますが、簡単な割には、意外と効果的です。コストパフォーマンスのいい方法です。

   ポイントは、今の自分を捨てれるかだけです。


2.8.2 概念処理(イメージ処理)


   前の、「2.7 情報処理の3階層 概念処理」と内容が重複しますが、この方法によっても、間違いを検出できます。

   イメージを組み立てていく時に、間違った情報の場合、余りにも、異質過ぎて、弾かれてしまいます。その異様さによって、判断できます。要は、うまく、ジグソーパズルがはまりません。


2.8.3 プログラムの多重化


   極めて、戦略的な方法です。
   問題の重要度に応じて、問題解決のプログラムを多重化させます。

   ひとつの問題を解決するのに、いくつものプログラムを同時にスタートさせます。

   物理学的アプローチ、生物学的、数学的、工学的、哲学的アプローチで、同時に頂上を目指します。
   途中では、互いの成果を、互いにフィードさせ合います。物理学で得られた成果を、生物学に適用します。

   いくつものプログラムを同時にスタートさせ、互いに成果を共有しながら、頂上をめざします。
   そうすると、間違ったプログラムは、頂上で出会うことができません。それによって、間違いを検出できます。

   この方法は、大きな問題を処理するのに向いています。問題を戦略的に解決できます。

   この方法の問題点

   この方法の最大の問題点は、乏しい情報の中で、戦略的重要度をキチンと判断できるかどうかです。

   重要な問題なら、多重化の度合いを上げなければいけませんが、重要でない場合は、時間のムダなので、多重化させてはいけません。

   プログラムを何重にするかは、あくまでも、戦略的重要度に依存します。この判断を間違うと、時間のムダと、時間切れで、計画全体が崩壊してしまいます。

      a)重要な問題は、プログラムの多重度を上げる。
      b)重要でない問題は、多重化させてはいけない。

   軍事用語ですが、戦術的失敗は、戦略的成功で取り返せますが、反対に、戦略的失敗は、戦術的成功では取り返せません。

   冷酷な判断が要求されます。



  前へ  Top  次へ